先日の議会で全会一致で可決いたしまして、阪南市に議会基本条例(施行は10月1日)ができました。議会提案による条例制定です。改めて関係各位にお礼申し上げます。
カンタンに条例について解説しておきます。
条例ができて何が変わる??
今回、この条例ができて大きく変わることが3つあります。
(1)議会において市長の「反問権」の行使が可能になります。反問権とは反論権じゃなくて、「その質問の趣旨は何でしょうか?」といった確認のための質問ができる権利です。
(2)年1回以上の議員研修会の開催をします。議員の政策形成能力を向上するため、年1回以上の研修会を義務付けます。
(3)この条例自体を年1回以上見直します。条例ができたことがゴールではなくて、ここからがスタートなので、ここから磨き上げていくことを決めています。
条例における阪南市らしさ、阪南市議会らしさって?
このブログの後半に条文をそのまま載せておきます。この条例を作るに当たって特にこだわったところは赤い字にしておきます。
パブリックコメントで意見の多かったのはどんなこと?
パブリックコメントについてはこちらに詳しく書いておりますが、多かったのは条文の中に「目指す」とか「努める」とかが多く、もっとはっきり「行います」と言えないのかというもの。市民説明会の時にも説明いたしましたが、この条例は今、現時点で我々市議会議員14人が合意形成できる最高の状態です。
これから1年に1回以上行われる見直しの際に「努める」が「行う」に一つでも多く替えられるように検討を重ねていくことになります。これからの阪南市議会にご期待ください。
では、以下、条例を掲載しておきます。
阪南市議会基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第2条・第3条)第3章 市民と議会の関係(第4条)
第4章 議会と市長等の関係(第5条・第6条)第5章 議会の活動(第7条―第15条)
第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第16条―第20条)
第7章 議員の政治倫理、定数及び報酬(第21条・第22条)
第8章 条例の位置づけと補則(第23条・第24条)附則
阪南市は、アマモの育つ魚庭(なにわ)の海とみどり豊かな山々に囲まれ、関西国際空港からも近く、歴史と文化を大切にする住みやすいまちです。
阪南市議会(以下「議会」という。)は、阪南市民から選挙で選ばれた議員により構成される機関であり、日本国憲法、地方自治法(昭和22年法律第67号)及び阪南市自治基本条例(平成21年阪南市条例第21号)に基づき、二元代表制の下、その機能を発揮、向上させながら、地方自治の本旨の実現を目指します。
議会は、「市民に親しまれる、市民に開かれた議会」、「子どもも大人も政治に関心を持ち、参加し、挑戦したいと思える議会」を目指し、市民との協調の下に地方分権の時代にふさわしい活発な議会を築いていきます。
議会は、「里海里山、自然との共生」、「歴史と文化」を重んじ、市民との信頼関係を高め、新たな価値の創造に向けて持続可能で未来につながるまちづくりを進めることを決意し、ここに議会及び議員の活動の基本を定めた最高規範となる本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会及び議員の責務及び活動に関する基本的事項を定めることにより、地方分権と住民自治の時代にふさわしい議会の在り方を明らかにするとともに、更なる議会の活性化を図り、もって市民福祉の向上と市政の発展及び持続可能で環境にやさしいまちづくりに寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、市民の声を市政に反映する市の意思決定機関であり、次の各号に掲げる原則に従い活動する。
(1) 公正性をもって市民に開かれたクリーンな議会を目指すこと。
(2) 市民に情報公開と説明責任を果たすこと。
(3) 議決にあっては、長期的展望をもって臨むこと。
(4) 適正な市政運営が行われているかを監視すること。
(5) 市民に親しまれる議会を目指し、傍聴したくなる議会運営に努めること。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。
(1) 議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分認識し、活発な議論を行い、議員間の意思疎通の円滑化に努めること。
(2) 市民の意見を的確に把握するために調査及び研究活動を行い、併せて自己研さんに努めること。
(3) 市民の代表として市民全体の福祉の向上を目指して活動し、条例又は政策の提案を積極的に行うよう努めること。
第3章 市民と議会の関係
(市民参加及び市民との連携)
第4条 議会は、議員及び市民が情報及び意見を交換する多様な場を設けるよう努める。
第4章 議会と市長等の関係
(議員と市長等の関係)
第5条 本会議における議員と市長その他の執行機関及びその補助機関( 以下「市長等」という。)との質疑応答は、論点及び争点を明確にして行うものとする。
2 本会議及び委員会において、議員の質問に対し答弁をする市長等は、議長又は委員長の許可を得て、趣旨を確認する目的で反問することができる。
(市長による政策等の形成過程の説明)
第6条 市長等は、政策を提案する場合は、議会の審議における論点を明確化し、その政策水準を高めることに資するため、次に掲げる事項について明らかにするよう努めなければならない。
(1) 政策提案の趣旨
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の政策との検討内容
(4) 市民参加の実施の有無とその内容
(5) 総合計画(市における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本的な計画をいう。)との整合性
(6) 財源措置
(7) 将来にわたる効果及び費用
2 前項の規定は、予算の提案及び決算の認定について準用するものとする。
第5章 議会の活動
(議員間の自由討議)
第7条 議員は、議会の機能を発揮するため、本会議及び委員会において、議員及び市長から提出された議案並びに市民等から提出された請願、陳情等に関して、議員相互間の自由な討議に努めるものとする。
(政策立案)
第8条 議会は、議員からの提案による条例の制定等あらゆる手段を用いて、政策立案を行う。
(政策討論会)第9条 議会は、合意形成を得るため、政策討論会を開催することができる。
(監視及び評価)第10条 議会は、市長等が行う事務の執行に対し、監視及び評価を行
う。
2 議会は、改善の必要があると認めるときは、市長等に対し、適切な措置又は対応をとるよう求める。
(委員会)
第11条 委員会の設置は、阪南市議会委員会条例(平成3年阪南町条
例第40号)の定めるところによる。
2 委員会は、市政の課題に適切かつ迅速に対応するため、所管事務の調査を実施し、その機能を十分発揮しなければならない。
(会派)
第12条 議員は、議会活動を行うに当たり、会派を結成することができる。
2 会派は、政策決定、政策提言、政策立案等に際して、会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする。
(情報発信)
第13条 議会は、既存の議会広報誌の発行に加えて、インターネット配信等、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、議会中継放送を行うなど市民が議会と市政に広く関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
2 議会は、議会活動をはじめ、議案に対する各議員の対応を公表する等、情報の公開と共有に努めるものとする。
(政務活動費)
第14条 議員は、議会の役割及び議員の職務を十分に認識した上で、調査研究その他の活動に資するため、政務活動費の交付を受けることができる。
2 議員は、証拠書類を公開し、政務活動費の使途の透明性を確保する
ものとする。
3 政務活動費の交付については、別に条例の定めるところによる。
(次世代への取り組み)
第15条 議会は、政治参加への環境を整えるため、小中学校への出前講座や子ども議会等の開催に向けて関係機関と連携を図り、努力するものとする。
第6章 議会及び議会事務局の体制整備
(学識経験を有する者等の活用)
第16条 議会は、議案等の調査及び研究に当たり、適切な判断に資するため、必要があると認めるときは、地方自治法に規定する学識経験を有する者等による専門的事項に係る調査並びに公聴会制度及び参考人制度を活用し、議会の意思決定に反映するよう努めるものとする。
(危機管理体制の整備)
第17条 議会は、災害及び感染症等の緊急事態が発生したときは、市民の生命、身体及び財産に関する安全及び安心を確保するため、市長等と協力し、危機管理体制の整備に努めるものとする。
(議会研修の充実)
第18条 議会は、議員の政策形成能力及び資質の向上を図るため、広く各分野の専門家等を招き、議員研修会を年1回以上開催するものとする。
(議会事務局の機能整備)
第19条 議会は、議会の政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査及び法務機能の充実を図るものとする。
(議会図書室の充実)
第20条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努めるものとする。
第7章 議員の政治倫理、定数及び報酬
(議員の政治倫理)
第21条 議員は、選挙で選ばれた市民の代表として、良心と責任感をもって、品位の保持に努めなければならない。
(議員の定数及び報酬)
第22条 議員の定数及び報酬の基準は、市の人口、面積、財政力及び事業課題並びに他市の状況等を総合的に検討し、決定するものとする。
2 議員定数の改正については、市政の現状と課題、将来の予測と展望
を十分に考慮するものとする。
3 議員報酬の改正については、阪南市特別職給料等審議会の意見のほ
か、市民の客観的な意見も十分に考慮するものとする。
4 阪南市議会議員定数条例(平成14年阪南市条例第24号)又は阪南市議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(昭和47年阪南町条例第26号)を改正する条例案を議員が提出する場合は、前3項の規定による明確な改正理由を付さなければならない。
第8章 条例の位置づけと補則
(条例の位置づけ)
第23条 この条例は、議会及び議員の活動の基本を定めた最高規範である。
(条例の見直し)
第24条 議会は、この条例の施行後、常に市民の意見及び社会情勢の変化等を勘案するとともに、議会運営に係る評価と改善を行うため、特別委員会等を設置し、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて適切な措置を講ずるものとする。
附 則
この条例は、令和6年10月1日から施行する。