個人視察

以前、
阪南市で子育てをされているお母さんより
このようなメールを頂きました。

「阪南市でも小規模特認校制度をぜひ導入してもらいたいです。
以前のブログで山中分校の統廃合に触れられていましたが、
私は、少人数の豊かな自然に恵まれた小学校で少人数の特長を
いかし、児童・教職員・地域が一体となって特色ある教育活動を
展開している泉南市や泉佐野市の小学校に自身の子供たちを入学
させていと思っています。
ただ、校区外でOKでも市外はダメなんです。
現在は、桃の木台に住んでいます。
あの石畳の素晴らしい街並みの山中渓の小学校に
我が子を通わせたいと、住所変更も含め、
賃貸や売買で山中渓の不動産を探していますがなかなか物件が出てきません。
統廃合も大切な事だとは存じますが、特認校にすることで
私のような考え方の親御さんもたくさんいるはずで、
絶対に児童数も増えると思われます。
阪南市の大切な財産(小規模の味のある学校…)をぜひお守りください。」

そこで、
この度、泉南市立東小学校さんに
個人視察に伺いました。

東小学校さんは
平成19年に開講された小規模特認校で、
泉南市ならどこの校区でも通うことのできる学校です。
学校は金熊寺(きんゆうじ)にあります。
学校自身は明治5年の開設で、
開校140年を超える歴史のある学校です。

視察させてもらったところ、
子ども達はとても伸び伸びと、
自然と共に、
先生や友達と近い距離感で学び、走り回っていました。
とてもいい環境だな、
というのが率直な感想です。

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阪南市の山中分校(山中渓)も開校140年。
現在整理統合の対象になり、
今週末も地域説明会が開かれます。

今回の個人視察を報告書にまとめさせていただいていますので、
アップいたします。

個人視察 報告書
泉南市立東小学校(小規模特認校)5.4MB pdfファイル(※)

小規模特認校が設立されるためには
報告書にも書いていますが、
地域やPTA、教育委員会の
相当な熱意と理解がないと成立しません。
この報告書が参考になることを願います。

(※)割と大きなPDFファイルでしたので、
リンクしなくてもいいように以下に全文載せておきます。

個人視察 報告書
泉南市立東小学校 ~小規模特認校~
平成25年11月20日
阪南市議会議員 上甲 誠

去る平成25年11月14日、下記施設の視察及びヒアリングを行いました。その内容と今後の考察を以下にまとめます。

(1) 施設概要
施設名称:泉南市立東小学校
施設所在:泉南市信達金熊寺553
電話:072-482-3500
対象児童:泉南市内に住所を有する保護者の児童
教育目標:元気な学校!
めざす子ども像:よく考え 思いやりのある たくましい子
~つながり(異年齢)を大切にした学校づくり~
重点目標:自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断・行動し、よりよく問題を解決する力を育成する。自ら律しつつ、他人と強調し、他人を思いやる心や感動する心などを備えた豊かな人間性を醸成する。たくましく生きるための健康や体力を養う。
沿革:明治5年開設
平成25年度児童数:67名
〃 教職員数:12名(うち1名非常勤)」

(2) 視察主旨
阪南市内小中学校の整理統廃合計画において、朝日山中渓分校や下荘小学校の今後の校舎利活用について「小規模特認校」が一つの選択肢としてありえないだろうか。というのも、両校とも明治6年の開設から140年間、地域とともにあった施設である。地域住民から「十分に検討してほしい」との声も多いのも現状である。
また、子育て・教育の強化に対する阪南市の取り組みの一つとしての選択肢としても「小規模特認校」があるのではないか。これは、今後阪南市が発展していくために特に大切な「教育」をシティセールスポイントとして育てるための積極的な取り組みとなりうる。
この2点の参考とするべく、本視察を行った。

(3) 施設設立の経緯
明治5年(1872年) 学校開設
平成9年 「大阪府へき地・遠隔小規模校」へ登録。
平成14年 教職員・PTAが児童の減少による統廃合の危機感、複式学級への危機感を意識するようになる。
平成16年 臨時PTA総会(2回開催)、アンケート実施、校区区長への説明会、市教育委員会への要望書提出
平成17年 小規模特認校の先進校「和泉市 南横山小学校」学校説明会に参加
平成18年 「東小学校を考える会」立ち上げ、PTA総会「東小学校を考える会」承認、「東小学校を考える会」会合5回開催、PTAによる「南横山小学校」視察
平成19年 小規模特認校開設

(4) 視察報告
イ) 稼働内容について
授業については他の通常学校と変わりない。
ただし、芝生の運動場、遊具、隣を流れる川、隣にある畑などを有効に使って、特色のある体験学習を行っている。
なお、科目の特色としては小学校1年生より英語の授業を行っている。

ロ) 小規模のメリット・デメリット
小規模ゆえに、子ども達への学習指導、生活指導、安全管理など隅々まで配慮が行き届く。家庭の教育方針によっては保護者の求めるものとなる。
配慮が行き届くがゆえに、保護者の要望や苦情がすぐに聞こえる。それは運営上メリットになっていることが多い。
現在はそうでもないが、心に不安のある児童の割合が多くなると職員の負担が増し、職員数の問題として学校運営に支障が出る可能性がある。
あと、小規模特認校を卒業した児童が通常の中学校に戻った時に集団に馴染めるのか?との問いには、子ども達が馴染むのは親が心配するだけで、現場では本当に一瞬で馴染んでいくものなので心配無用ということであった。ただ前述の心に不安のある児童のうち、集団生活になじみにくい児童に関しては、中学生になった時に支障にならないように重点的・部分集中的に成長を促す取り組みを行っているとの事であった。
別件では、小規模ゆえにPTAの数が少なく、PTAの役員選出には毎年苦労をしているようである。

ハ) 子ども達の通学における安全
別紙、実施要綱(資料1)にあるように、「保護者は自らの責任と負担において当該の児童を通学させること」となっており、登下校に負いては保護者の責任となっている。
現状としては児童数67名に対して、歩いての登校19名、コミュニティバス26名、保護者による送迎22名(日によって多少の登校手段変更はある)となっている。コミュニティバス利用の児童の中には、2本のバスを乗り継いで登下校している児童もいるとのことである。
なお、コミュニティバスの料金は半額保護者負担で、半額は市が負担している。またコミュニティバスの運行時刻は学校の始業時間と調整を行い、決められている。コミュニティバスの児童については居残りの時間に制限が出るなどの制約はあるものの、現在、その点は各保護者への別途連絡にて対処している。
なお、徒歩の児童に対しては、地域の見守りがある。

ニ) 費用と収支
通常の学校と同じように、府及び市の財政によるものである。
運営に関しては、児童数が少なく、当然PTAも少ないのでPTA会費収入が少ない。しかしながら、贅沢はできないものの健全な運営はできている。
なお、小規模特認校だからと言って、特別に補助制度や助成金があるわけではない。

ホ) 運営及び人事について
小規模特認校が継続的に運営されるために大切な事は、まず児童数の確保が挙げられる。学校運営側としては市内全域に広報活動をし、広く周知していただくように努めている。なお、最も効果的な広報活動は「口コミ」である。
他校との行事連携は?という質問には、年に一度市内の6年生が集まっての連合記録会(運動大会の様なもの)があるぐらいで、児童が少ないのは少ないなりに独自で運動会などの行事をこなしていて問題はないという事であった。
人事に関しては大阪府で定められている通りであるが、やはり少ない教職員で融通が利かず、大変なことが多い。またその職員の能力も、小規模特認校という特質から相当な高さが求められる。
人事に関しては学校運営に関する最重要課題と言える。

ヘ) 施設について
建物、付属設備の管理は通常の学校施設と同様に市の予算の範囲内で行われている。部分的な老朽化や、雨漏り跡などが確認できたが、これは、おそらく他の市内学校施設が抱える問題と同様だと考える。
学校敷地内で音楽室の不足があったが、隣接し現在使われていない幼稚園園舎の遊戯室を音楽室として利用している。園舎内の他の教室についても倉庫として利用しているものもあるとの事であった。

ト) 今後について
児童の確保、これが今後も継続的に抱える最大の課題である。そのためには、今後も積極的に学校の特色をアピールし続けていくことが何より大切である。

(5) まとめ

小規模特認校の運営については、校長の管理能力が非常に大切だと感じました。小規模特認校だから自然に児童が集まるわけではなく、それなりの営業、アピール活動及びホスピタリティ精神が必要です。

子ども達は、とても伸び伸びと学び、先生との距離、友達同士、年上年下との距離も近く、自然豊かな東小学校の立地条件も相まって、本当に理想的な環境で育っていると感じました。

小規模特認校の開設においては、地域やPTA、そして教育委員会の相当な熱意と理解がないと成し得ないという事なので、これが一つ、大きなハードルになることは間違いありません。この市民の理解と協力が得られたときに「小規模特認校」は阪南市の教育の大きなセールスポイントに成りうると考えられます。

最後になりましたが、今回の視察に際しましてご協力いただいたすべての方々に感謝の意を表します。ありがとうございました。

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