旧尾崎住民センターの解体工事が始まっています。本体は6月中旬から解体予定です。

旧尾崎住民センターの解体工事が始まっています。

第1期工事は手前の建物で、現在取り壊し中です。建物の本体は6月中旬から取り壊す予定になっています。

さて、この旧尾崎住民センターについてまとめておきたいと思います。

この建物、このブログでもたびたび出てきていますが、もとは尾崎村役場でした。年表でまとめました。

(クリックすると大きくなります)

この年表の青いところ、尾崎村→尾崎町→南海町→阪南町というところをこの建物が庁舎として中心になり街づくりが進んできました。

昭和初期に尾崎出身の(株)銭高組の創業者、銭高善造氏(尾崎村名誉村長、弟子入り前は四至本姓、淡輪出生)によって建築された建物と言われています(※1)。銭高善造氏についてはほかのホームページ(銭高組年表銭形平次のルーツコトバンク)のほうが詳しいです。

市のホームページでもたくさん紹介されています。下にコピペしておきますね。

この建物、尾崎の皆さんのみならず、阪南市皆さんにとって馴染みの深い、とても大切な建物でした。このたび、解体されることとなりましたが、銭高組さんや当時の村民の皆様、そしてこれまでの関係各位、住民の皆さんに心から感謝と敬意を表します。ありがとうございました。

浜街道について

昭和初期に地元出身で当時の村長であった銭高善造の創業した銭高組によって尾崎村役場として建築され、当時この地方では見られぬ西洋文化を取り入れた豪華な建物でした。本館は鉄筋コンクリート地上2階、地下1階建てで、後に3階部分と前面の付属建物が増築されています。南海町役場、阪南町役場を経て、現在も尾崎住民センターとして使用されています。

尾崎村役場(2014年9月)

江戸時代、阪南市域には14の村ありましたが、明治22年に合併し、桑畑村、石田村、黒田村、下出村、自然田村、中村、山中村が東鳥取村に、波有手村、新村が西鳥取村に、貝掛村、山中新田村が下荘村となり、合併しなかった尾崎村と合せて4ヵ村となりました。
尾崎村役場は木造瓦葺平屋の民家を改装して庁舎としてきましたが、手狭になった、昭和3年度に、村内有志の寄付金や旧庁舎売却による代金などで庁舎新築の計画が立てられました。
新しい庁舎は鉄筋コンクリート3階建て(地階を含む)、延べ床面積は107坪(約353平方メートル)で、地方にはみられないほどの豪華な建物になりました。
その後、昭和14年に尾崎村が尾崎町となった後、昭和31年に尾崎町・西鳥取村・下荘村が合併して南海町、昭和35年には、町制施行した東鳥取町と南海町が合併して阪南町になってからも庁舎として使用され続けました。そして、昭和51年に現在の庁舎が完成したことで、庁舎としての役割を終え、現在は尾崎住民センターとして使われています。

旧尾崎村役場庁舎を彩るタイル(2018年7月)

平成28(2016)年度まで尾崎住民センターとして使われていた旧尾崎村役場庁舎は、昭和4(1929)年に建設され、当時の公共施設としては近代的なものでした。この建物がたどった歴史については、「尾崎村役場」(2014年9月)で紹介していますので、今回は建物に焦点をあててみます。
大正12(1923)年の関東大震災を契機に、建築物は耐火に加えて耐震性も重視されるようになり、従来のレンガ造りから鉄筋コンクリート造りへ移り変わりました。この変化に伴って建物の外壁はタイルで装飾したものが流行し、当庁舎の外壁も正面及び側面に黄褐色のスクラッチタイルを採用しています。スクラッチとは引っ掻くという意味で、表面に溝を無数に入れています。掻き取り痕の粘土塊が残るこのタイルは一見粗雑に見えますが、全体的には屋根の庇の下や玄関部分に施された石材風の装飾と調和してきらびやかではないものの温かみを感じさせ、当時の流行を物語っています。
スクラッチタイルは、関東大震災以前に設計者のフランク・ロイド・ライトが帝国ホテル旧本館に用いるために愛知県常滑市で生産をはじめました。
以後、昭和3(1928)年竣工の首相官邸等の公共施設から庶民的な建築物に至るまで幅広く用いられ、約10年間にわたり流行しました。
旧尾崎村役場庁舎は尾崎町、南海町、阪南町役場を経て、平成28(2016)年度まで尾崎住民センターとして使われていましたが、今年度を以って取り壊されることになっています。
(注 2018年現在の記事)

 

(※1)2020.10.16.追記:「阪南市出身の銭高組さんによる建築」と書きましたが、のちの調べによって少し不明になってきました。というのも、証拠として残っているのは「工事は岸和田市別所町の西村義満が14,750円で請け負った」となっており、銭高組さんが元請け出なかったことが判明しました。阪南町史には「銭高組の建築」の記載がありますが、もう少し調査を進めてから明らかにしていきたいと思います。よって訂正いたします。

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